東京小唄・清元・三味線教室

連れて退かんせ

投稿日:2011年1月18日

【歌詞】連れてえ連れて退かんせ 妾(わし)が身を 蝦夷松前は愚かな事よ
     他国住まいもままの皮 惚れた三字に 代えらりょうか
【解説】上方の女子の一途な恋心を唄った田舎唄で、この気持ちは当時の人々の共感を呼び、宝暦年     間にはこれが歌詞を変えて上方小唄となり、「お前故なら妾やどこまでも、蝦夷や対馬の果て までも 女子の癖じゃあるまいに 惚れたが無理かえ」と唄われた。これが、文化文政から幕末まで上方で唄い続けられた。その頃の蝦夷(北海道)や対馬(九州)は女子にとっては唐天竺(支那・印度)と同じ位遠いものであったに違いない。明治中期、この田舎唄「連れて行かんせ」と上方小唄「お前故なら」とミックスして作られた江戸小唄が「連れての退かんせ」で江戸端唄調の面白い小唄となっている。
(木村菊太郎著 「小唄鑑賞」より)

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