東京小唄・清元・三味線教室

小唄 「散るは浮き」

投稿日:2012年4月19日

【歌詞】
散るは浮き
散らぬは沈む紅葉ばの
影は高雄か山川の
水の流れに月の影
【解説】 清元お葉作曲
名人清元お葉によって作曲された小唄で、現在行われている江戸小唄の最初の記念すべき作品である。時は安政二年の大地震の年の師走頃、お葉は当時十六歳であった。
歌詞は雲州松江の城主松平不昧(ふまい)公の短歌「散るは浮き散らぬは沈むもみぢ葉のかげは高尾の山川の水」に、お葉が「高尾の山川の水」を「高尾か山川の水」と変え、末尾に「水の流れに月の影」と加えて小唄の歌詞としたものである。
 高尾は京都市右京区の北にそびえる高雄山のことで、清滝川の渓谷の右岸にあり、同じ清滝の渓流に沿う栂尾、槇尾と共に三尾と称せられ、秋の紅葉の名所として名高い所。
「散るは浮き散らぬは沈むもみぢ葉の影」とは、散った紅葉は清滝の渓流に浮いて流れ、枝にある紅葉は、その真紅のかげを渓流の底に映じているという意味で、「山川」は山間の川の意味で「やまがわ」と「が」をにごってほしい。「月の影」は清滝の渓流にかかる月の光をいう。(江戸小唄 木村菊太郎著より)

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