東京小唄・清元・三味線教室

小唄 「それですもうと」

投稿日:2012年7月23日

それですもうと 思うてかいな
角目立つのも恋の欲 やわらじゃないが投島田
酒が取り持つ仲直り 仲直り
【解説】
 明治中期に江戸小唄で明治座で左団次が「谷風」を上演した時作られたものではないかと考えている。
粋な角力を色に持って贔屓しつづけたのが因果で、一寸目を放したすきに、ほかに色増す若い花が出来たと聞いた年増芸者が、ある夜座敷でその角力に逢ったのを幸い、いつもの待合いへ連れ込んで、男に恨みの丈を述べる所を唄ったものである。「それで角力」は「妾の他に女をこしらえて、それで済むと思っているのか」という意味で、「角目立つ」は眼に角を立てて物を言うのもお前に惚れているからのこと。「柔術じゃないが投島田」は、柔道の投げると投島田をかけた言葉の綾で、こう口では強く男に言うものの、妓は投島田の根をがっくりと落として、泣き伏すのである。その泣き伏した姿を見ると関取もすっかり悪いと気がつき「わかった、俺が悪かった、機嫌を直して一杯俺の盃を受けてくれ」と仲直りするところである。
角力に関係のある言葉をふんだんに採り入れており、酒席で通人連の即興でものした小唄であろう。(小唄鑑賞 木村菊太郎より)
☆色っぽいどどいつもありました!
  角力に負けても怪我さえなけりゃ 晩にゃ妾(わたし)が負けてやる (『日本音曲全集』)

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