春琴抄

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こんにちは

小唄の理解を深めるために、文豪・谷崎潤一郎(1886-1965、日本橋人形町生まれ。端麗な文章と巧みな語り口が特徴。代表作に『細雪』『痴人の愛』)の最高傑作、小説の神品とも言われる『春琴抄』を読んでみましたので、紹介させていただきます。

舞台は明治初頭の大阪道修町。
富裕な薬種商、鵙屋(もずや)の娘お琴(春琴)は、9歳のときに失明し琴三絃の稽古に励み糸竹の道を志す。
「手曳き」として身の回りの世話を任されたのが丁稚の佐助。
20歳で琴、三味線の師匠として独立した春琴だが、天性の美貌と気位の高さから恨みを買い、熱湯を浴びせられ顔に大火傷を負う。
包帯がとれ人に顔を見られることを嫌がる春琴。
喜悦を隠して尽くしぬく奉公人の佐助は、それを聞いて、春琴と同じ世界で生きていく決心をするのであります。

昔の稽古風景が描かれていますが、当時は譜面などはなく、芸は「口伝」でその「風」を繋いでいきました。三味線の稽古は、師匠が右手で膝を叩きながら口三味線で厳しく教え、まさに一期一会の真剣勝負でした。

名作だけに過去に6回映画化され、1935年には田中絹代、1954年には京マチ子、1961年には山本富士子、1976年には山口百恵などが、それぞれの個性で春琴を演じています。

春くれば(春琴抄)

河上渓介詩
春日とよ曲

春来れば
谷間の塒立ち出でて
ほのかに香る
梅が香を
偲びつ我は丸窓の
蔭に調べん
床し爪琴