梅雨入り

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濃紫陽花
からかさ越しに
三味の音

『からかさ』の合同稽古が始まりました。

『からかさ』とは、洋傘に対する和傘の総称で、中国舶来なので唐の文字を付けたという説や、からくり傘が縮められたという説があるようです。
最近は、日常生活ではまず見かけなくなり、千鳥掛のある『からかさ』は伝統工芸品として絶滅危惧種になりつつあります。

さて、『からかさ』は文句も替唄がたくさんあって楽しい小唄ですが、唄うのにはけっこう難しい曲のようです。
『小唄鑑賞』の著者・木村菊太郎が、次のように書いています。
「この小唄は、文句も単調で、曲も平凡なのであるが、この唄ぐらい唄い手の技量のわかる唄はない。下手に唄われたら、これ位、気の変わらぬ唄はないので、芸の確かな人は、どうしても平凡でなく、曲節の重ならぬように唄うとか工夫をせざるを得ない。例えば『骨はばらばら』と唄ったら、声の調子を低く三味線を逃げてゆっくり『紙ゃ破れても』と重く唄う。また後段の『千鳥掛け』は前段の『破れても』と同じ調子であるから、ここでも工夫で変えねばならぬといった訳である」(邦楽之友21号)

からかさ

〜二上がり

からかさの骨はばらばら
紙ゃ破れても
離れ離れまいぞえ
千鳥掛

妾(わたし)ゃ妾ゃ
野に咲く一重の桜
八重に八重に咲く気は
更にない

待てと待てというなら
五年はおろか
やなぎやなぎ新芽の枯れるまで

からかさの傘のしずくで
地が掘れるまで
好いた好いた同士の
立ち話

恋の恋の丸木橋
主となら渡る
落ちて落ちて流れりゃ
嬉しい二人連れ

三味線の糸は切れても
ふたりが仲は
切れて切れて切れない
あの深い仲

置炬燵 待てど来ぬ夜の
身のせつなさ辛さ
積もる積もる思いの
窓の雪

雪を雪をかむって
寝ている笹を
憎や憎や雀が
揺り起こす

からくりの ぱっと変わりし
お前の心
影で影で糸引く人がある

(文政(1818-30)の初めに流行し、ニ上がりの三味線で唄われた「よしこの節」をルーツとする明治期の俗曲からとった江戸小唄。千鳥掛とは、傘の柄の上に付けられ開閉に使われる仕掛け「轆轤(ろくろ)」の糸の細工。解説は師匠のHP歌詞集・動画コーナー、または小唄選曲集第ニ集五頁を参照してください)