東京小唄・清元・三味線教室

小唄 「水指し」

投稿日:2012年4月14日

【歌詞】
水指の二言三言言いつのり  茶杓にあらぬ癇癪の わけ白玉の投げ入れも 思わせぶりな春雨に
茶巾しぼりの濡れ衣の 口舌もいつか炭手前 主をかこいの四畳半
嬉しい首尾じゃないかいな
【解説】
「水差」は釜の湯を補う水を入れてある器であるが、ここは俗に言う「水をさす」つまり信じあっている二人に中傷する人があって、二言三言言い合いをすることを指す。「茶杓にあらぬ癇癪」は語呂合わせで、間尺に合わぬをもじったものと思うが苦しい洒落である。「わけ白玉の投げ入れ」は、訳は知らぬがという意味と、白玉椿の投入に挿した床をかけたもの。「茶巾しぼりの濡れ衣」とは、抹茶碗を拭くに用いる麻の布を茶巾といい、濡れた茶巾で茶碗を拭う作法を茶巾さばきと唄い、その濡れた茶巾と濡衣とをかけた言葉。「口説もいつか炭手前」は濡れ衣の口説が済んだことと、炉に炭をつぐ作法の炭手前とをかけ、「主を囲いの四畳半」の囲いは数寄屋(茶室)で、之と主を屏風内に囲うことをかけたものである。
 一中節を取り入れて、どこか茶の湯らしい寂びの感じの漂う曲となっている。(小唄鑑賞 木村菊太郎より)

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