投稿日:2015年1月22日
逢いみての
【歌詞】
逢い見ての 後の心にくらぶれば
思いぞまさる昨日今日 いっそ他人であったなら
こんな苦労はあるまいに 焦がれ死ねとか出雲の神は
ほんに仇やら情けやら
【解説】
陸奥宗光詩、作曲者は不明。明治中期の作。
冒頭の「逢い見ての・・・」は百人一首にある
「逢い見ての後の心にくらぶれば昔は物をおもわざりけり(権中納言敦忠)
から採ったものだが、敦忠の歌が、あなたと逢瀬を遂げた後の今の気持ちに比べれば昔は物思いなどしていないのと同じだったのだなあ、と云う男の歌であるのに対して、この小唄は女の歌として作られている。男と自由に逢えない身、妻子ある男を愛してしまった女の死にたくなるような胸の内、ということだろう。時代は違うが敦忠と宗光の御両人、共に多情。だが、否、だからというべきか、情の深い人たちだった。
ほどほどに
【歌詞】
ほどほどに色気もあって品も良く
さりとて冷たくない人に
逢ってみたいような春の宵
【解説】
河合勇詩 黒崎茗斗曲。やわらかく小さくまとめた佳曲。春夏秋冬、宵の刻はあるが、こういう気分はやはり春の宵。唄の主は若い男だろうか、娘だろうか。男女を問わず、老若を問わず、溜息が出たり、幻想が湧いたりすることがあるのが春の宵であろう。
☆2月1日、各派小唄名流大会で唄います