東京小唄・清元・三味線教室

小唄 「茶のとが」

投稿日:2016年6月21日

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心の中に降る雨は、他の人には見えませんが、何気ない言葉で気が紛れたりするものですね。
小唄「茶のとが」では、曇りがちなるわが胸をほととぎすが、晴らしてくれたと唄っています。
【歌詞】
茶のとがか 寝られぬままの爪弾きに
浮河竹の水調子 涙ににじむ薄月夜
傘持つ程はなけれども 曇りがちなる我が胸を             
晴らす雲間の ほととぎす   
【解説】
お座敷で飲んだ抹茶のせいか、夜が更けてもなかなか寝つかれぬ妓は、起き上がって三味線を手に取る。四辺に気をつかって水調子の爪弾きでポツンポツンと弾いてみるうちに、恋しい胸の中をまだ打ち明けられぬ人のことが思い出されてつい涙ぐむ。外は五月の薄月夜で、暈(かさ)をかむっているという程ではないが、ともすれば曇りそうな「わが胸」によく似た月夜である。その五月の雲間を、一声高く名のって過ぎる時鳥の声、それが、曇りがちな自分の胸の雲を吹き晴らすかのようであった。
水調子=三味線の絃のゆるんだ低い高位(ピッチ)を言う。これは、余り 音を響かせないで弾く場合とか、自分で楽しみに弾く場合に用いられる
憂き川竹=「川竹」とは、川辺に生えている竹で、その竹の先は垂れ下がり、常に川水に押し流されて浮いたり沈んダリ意だりしている事から、之を遊女の浮沈定まらぬ境遇に沈定まらぬ境遇にたとえて「憂き川竹の勤め」と言った。

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