東京小唄・清元・三味線教室

奥州安達原

投稿日:2017年11月24日

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近松半二(1725-1783)作、時代物義太夫狂言の名作『奥州安達原』の「環宮明御殿の場」を歌舞伎座で鑑賞してきました。
源義家(中村錦之助)が奥州安倍氏の反乱を平定した後のこと。
皇弟環宮が行方不明となり、その咎から平直方(中村歌六)に切腹の命が下されます。そこへ父の難儀を知った娘の袖萩(中村雀右衛門)が、盲目で袖乞いの身を顧みず駆けつけます。しかし、直方は、安倍貞任(中村吉右衛門)と駆け落ちしご女に零落した娘の対面を許しません。袖萩は不幸を詫びる祭文を語り、父母へ許しを乞います。そこへ現れたのは義家の命を狙う貞任の弟宗任(中村又五郎)。宗任から直方を殺すよう促された袖萩は、思い余って自害します。やがて直方は環宮不明の責から切腹、上使の桂中納言は直方の死を見届けて立ち去ろうとしますが、義家がこれを安倍貞任と見破ります。そして、義家と貞任は、戦場での再会を約束して別れるのでした。
豪快な演技がみどころの時代物の傑作です。
見せ場は、袖萩が三味線を弾きながら祭文を語る場面です。不義をはたらいて勘当された袖萩は、流浪の最中に目が不自由になり、祭文を語ってわずかな金を得ています。袖萩が祭文に託して、両親に自分の不幸を詫びるこの場面は、「袖萩祭文」という通称の元となりました。袖萩の娘、子役(松本金太郎)の演技に泣けました。袖萩と貞任の一人二役を演じることが多く、先代吉右衛門の得意の役だったが、今回は吉右衛門は貞任だけを演じています。
歌舞伎には、役者による舞台上の楽器演奏が見せ場となる作品があり、代表作はこの他に阿古屋という傾城が琴、三味線、胡弓を演奏する『壇浦兜軍紀』通称「阿古屋琴責」、盲目の女性朝顔が宿屋の客に琴唄を聴かせる『生写朝顔話』などがあります。
mak

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