投稿日:2021年3月31日
【歌詞】
葉桜や 月は木の間をちらちらと
叩くくいなに誘われてささやく声や
とまの舟
【解説】
明治中期に作られた江戸小唄である。向島の水神で、美奴を侍らせながら初夏の宵を楽しんでいると、水辺の茂みから緋水鶏(ひくいな)のカタカタカタと雨戸を叩くように高く鳴く声がするので、つと障子を開けると、向島の土手はすでに葉桜、その合間から月の光がチラチラと見え、土手の下あたりで男女のささやく声が聞こえる。おそらくは苫の船に腰を降ろし、隅田川の対岸の灯を眺めながら、恋をささやく若い男女であろう。
(木村菊太郎 小唄鑑賞より)
替歌に「青々と」があります。
4月を待たずして、谷中の桜もハラハラと散り始めました。