東京小唄・清元・三味線教室

又の御見

投稿日:2012年5月1日

又の御見を楽しみに 帰した後でふうわりと
鶏が鳴く 君はいま駒形あたり何となく
昔も今も変わらじと 人の情けと恋の道
【解説】
明治中期に作られた江戸小唄である。吉原の遊女の真心を唄ったもので「又の御見」は、この次にお目にかかる日を楽しみにの意。年期があいたら
夫婦になろうと固く約束した男を、次に逢う日を約束して帰したあと、寝床に入って夢うつつに聞く鶏の声が「ふうわりと鶏が鳴く」で恋疲れの魂のぬけたような気持ちを言い得て妙である。
「君はいま駒形あたり時鳥」は、その昔二代目高尾太夫が、後朝の別れを惜しんで、館へ帰られる仙台候の御召船が、山谷堀を出て、大川を下って今頃は駒形河岸あたりへ挿しかかっているであろうと、口ずさんだ俳句と聞くが、妾のあの人も丁度駒形あたりであろう、ああ、昔も今も、男を思う女心は変わりないものである、と遊女がため息をつくところを唄ったものである。淡々とした情感のこもった小唄である。 (木村菊太郎 小唄鑑賞より)

 |