東京小唄・清元・三味線教室

かやうり(蚊帳売)

投稿日:2011年9月3日

【歌詞】
一声を花の東(あずま)の町々へ 残してゆくか 山時鳥(やまほととぎす)
「萌黄(もえぎ)の蚊帳や 蚊帳や幌蚊帳」
涼しい風が来るわいな
【解説】
この小唄は大正8年8月鶯亭金正が作詞し、歌沢佐登が作曲した歌沢節を、幸兵衛が金升の諒解を得て小唄化したものである。
江戸の町に「蚊帳売」が現れたのは、3代将軍家光の寛永年間で、饅頭笠(まんじゅうがさ)、腹掛け、股引、」ちゃんちゃんこのようなものを着て、天秤棒で前後に葛篭(つづら)のようなもの吊り、その上に畳んだ蚊帳を載せて、節を付けた呼び声で町中を売り歩いた。清元「文屋」の中で唄われる「萌黄の蚊帳」の節はその呼び声を採り入れたものである。その後専門店や百貨店で扱うようになったが、この小唄は明治期の「蚊帳売」の呼声を唄ったもので小唄としては「苗売」と同じく「蚊帳売」の呼び声が生命で、江戸前の小唄として大変流行した。(昭和小唄 その1 木村菊太郎著より)

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