東京小唄・清元・三味線教室

主さんと

投稿日:2012年11月8日

【歌詞】
主さんと 廓の浮名も立ちやすく
風の噂やうたてや辛や 流 れの身こそ世を花と
比翼連理の二丁立 ともして雪の肌と肌
恋のならいの心太く 切るという字は習やせぬ
【解説】
吉原の遊女が、好いた男への慕情を、蝋燭に縁のある言葉で綴ったもので「立ちやすく」は蝋燭のつきるのが早いと浮名の立ちやすいとをかけ、「風の噂やうたてやつらや」は、蝋燭が風を厭うことと、浮名のたつのを遊女が厭うこととをかけている。「流れの身」も蝋の流れることと、遊女の身の上とをかけ、「夜を花」も遊女が夜のものであることをいい、「二丁立ち」は、吉原通いの舟のに二挺立と、二丁蝋燭という派手な遊びとをかけている。「ともして」は蝋燭の灯をともすことと、男女合歓のことを雲雨(とぼす)と俗に言うので、之をかけており「雪の肌」は蝋燭の白さと、遊女の肌の白さとをかけている。「心太く」は蝋燭の心の太いことと、女の一途な強い心とをかけ「切る」は、蝋燭の心を切ることと、二人の中を切るということをかけたものである。「比翼連理」は二羽の鳥が翼をならべているのが比翼で、一樹の枝が他樹の枝と違って木理が相通じるのが連理で、相思相愛の男女の契りの深いことを云い
「恋の習い」は、恋の常として、という意味である。
粋なうちに渋さのある江戸小唄の真髄を伝える小唄として、故中村吉右衛門の愛唱したもののひとつである。

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